ORiGiNaL-053

- 整備娘々 in AFTeR-DaYS -

『B&B社』

2008-08-31
第1次ピクロボ大戦終結後、戦場跡には擱座したヴァルトが多数残されていた。

強力な侵略側勢力の前に旧式機であるヴァルトの損耗率が高かったコトもあるが、
最も大きな要因は擱座したヴァルトの回収がほとんど行われなかったコトによる。
退役寸前のヴァルトを回収して修理するよりも、イーリアス系やフィッシュ系を回収・修理、
もしくは新規に生産して戦線に投入する方が合理的であったからだ。

戦後暫くたってから地球連合軍はようやくヴァルトの回収を開始する。
コレも修理のためではなく、廃棄処分のためであった。
だがしかし、現地での放置ヴァルトの数は地球連合軍が予想していた数を大きく下回るコトになる…。

ジェニファー 『コレ、使えるかなぁ〜』
ジェシカ 『イイから全部積んじゃってー』

ジェシカは地球連合軍に、ジェニファーは民間ロボット軍に所属する整備士であったが、現在はフリーランス。
第1次ピクロボ大戦終結後、擱座し戦場跡に放置されていたヴァルトを
専門的に収拾・修理・販売する『ベィク&ベーク社(B&B社)』を共同で起業した。

地球連合軍の回収作業が始まるより前に、
ヴァルトのパーツだけを徹底的に収拾していた『B&B社』は、
使用できるパーツを集めてヴァルトを再構成し、戦災からの復興作業用に販売。
擱座した機体からの寄せ集めとは云え、きっちりと整備されたヴァルトは、
戦闘用にはなり得なかったが作業用としては充分に高性能であった。

無論、現役のロボット兵器が民間市場を流通するなど軍が許可する筈も無いが、
元々退役寸前でピクロボ大戦中の急速な技術進歩により、
完全に時代遅れとなったヴァルトであればこその商売である。
むしろ処分費用が低減されたコトで軍に感謝されたほどであり、
2人の眼の付けドコロに間違いは無かったと云えよう。

最終的には、『処分』として解体される筈の退役ヴァルトが
稼動できるままの状態で送られて来るようになり、
地球連合軍は解体費用を削減、B&B社はタダ同然で機体を入手できるコトになった。
コレにより『B&B社』は短期間で急成長し、主要ロボット産業企業の一角に名を連ねるコトになる。

かくして、一部のカスタム機体を除いて軍から姿を消したヴァルトであったが、
街中でその姿が散見されるようになり、一般人の眼に触れる機会はかえって多くなった程である。

老兵は死なず…。ただ再就職するのみ…。

ジェシカ・ベィクとジェニファー・ベークは名前がなんとなく似ているが特に血縁関係はない。
ちなみに2人とも兄が1人居る。

『pixiv』投稿作品第33弾。

BaCK