PiXiV-135

『吼える鬼』

投稿日:2010年02月06日 15:28

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ピクシヴファンタジアW公式イベント『白銀吹雪の森へ』に投稿。
ホントは漫画形式にしたかったのですが、間に合わないと判断して小話です。

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ソレは吹雪の中に現れました。
吹雪に白く霞む視界に魔獣の三ツ眼が赤く光っています。

そもそもこんな吹雪にならなければ。
お父ぅもお母ぁも今日の天気は崩れないと云っていたのに。
そもそもこんな吹雪にならなければ。
こんな処で道に迷うコトも魔獣に出会ってしまうコトも無かった筈なのに。

近付いて来る赤い三ツ眼。

『た、助け…』

叫び声を上げようとした瞬間、視界が白く回る。
首根っこを掴まれて放り投げられたと気付いたのは投げられた先の雪上で2転3転した後でした。
茫然と観上げたその先。
三ツ眼の魔獣の前に立ちはだかる、黒い…【鬼】が居ました。

咆哮する魔獣に呼応して鬼が吼える。
魔獣のツメと鬼の剣が2度3度と交差し、鈍い音を響かせます。

『早ク逃ゲナサイ』

突如届いたその声が当の【鬼】からのモノだとは判りませんでした。
ソレでもその声でハッと我に、返り転がるように村の方角へ駆け出します。

村に辿り着いた時、不思議なコトにアレだけ荒れていた天候はすっかり回復していました。
話を聞いた村人達が手に手に武器を持ち、恐る恐る現場に向かいましたが、
その場に残っていたのは斬り斃された魔獣と、【氷柱の森】へと伸びる足跡だけだったのです…。

その頃。
『フム…。先程ノ子供ニ道ヲ訊イテオケバ良カッタカナ…』
氷柱の森の中で地図を片手に立ち竦むロンドの姿が在ったとか無かったとか…。

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【オマケ】

当初、漫画形式を考えていたので魔獣に襲われる子供のデザインも決めていた。
そのままお蔵入りも勿体無いのでココに載せておこう。

ちなみに名前は無い。

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BaCK