PiXiV-124

『ファオレ・レムナゥト』

投稿日:2009年10月14日 00:59

王星製量産型戦闘機ファオレのバリエーションの1つ。
格闘戦仕様。
セイカ・ノート専用機。
ファオレは第1次ピクロボ大戦終結後の王星で開発・制式採用された機種である。
制式採用からかなりの年数が経っているため、王星ではありふれておりヴァリエーションは多い。
だが、ファオレは元々は高速・高機動型として開発されたと云う経緯があるため、
格闘戦仕様は数が少なく、地球に存在するモノは更に希少である。

もちろん、【ピクロボアフター】と【あるは外伝】は直接繋がるモノではありませんが、
【ファオレ】は【あるは外伝】においても
大体同じような時系列で開発・配備されていると云うコトになっております。
主に私の脳内で!!

------------------------------------------------------------------------------------

『早く元気になれ。退院を待ってるからな』

そう云って紫の髪の少女が病室を去る。
ベッドの上から曖昧な笑顔でソレを観送ったセイカがふと自分の腕に視線を移した。
戦時中はボロボロだった腕や脚は随分とマシになった。
だが、ソレは表面的なモノで、筋力は全く回復していない…。

身体能力の低下に苦しみつつも、あるは戦役をなんとか生き残ったセイカ。
彼女はヘルヴォル隊のつてで民間独立軍の戦時病院に入院し、静養を続けていた。

『ロタちゃん、帰ったみたいね』

その時、病室に入って来た白衣の女性がセイカに声をかけた。
民間独立軍に籍を置くコトー女医である。

『コトー先生…。私もう、回復はしないのでしょうね…』

セイカが問う。
だが、その答えは問うまでもなく自分で判っていた。
こうして静養を続けていても身体能力の低下は緩やかに続いている…。

『…残念だけどPXシリーズのナノマシンはヴァリアント軍でも特殊なモノらしくて…。
治療方法は解明できていないわ』

コトー先生の回答はセイカの予想通りであった。
PXシリーズの生まれた研究所が破壊された時、そのデータもほぼ完全に失われている。
最早、能力の回復は絶望的な状況と云えた。

『あの…もう一つ、訊いてもいいですか…。
私、あと何ヶ月生きていられますか…』

再び問うセイカ。
コトー先生の答えには少し間が空いた。

『…もって…千ヶ月ね…』

『…そうですか…。はい???』

-----1000ヶ月=83年4ヶ月-----

コトー先生の言葉の意味を理解できず、セイカが怪訝な表情をする。
コトー先生が困り顔で口を開いた。

『アナタの体内にはナノマシンはもうほとんど残っていないわ。
もう、ドコをどう診断しても普通の人間と変わらないのよ。
普通の人間だったら運が良ければそれくらい生きられるわ』

『え、だって最近、力が全然出ないし、100メートル走るのに14秒くらいかかっちゃうし、腕立伏せも連続200回がやっとだし…』

『…16歳の女のコとしては充分過ぎるわよ…』

かくして、セイカ・ノートはその日の内に退院したのであった!!!

さて、PXシリーズとしての優れた身体能力は失ってしまったセイカであったが、
かと云って戦うコト以外に能が在るワケでもない。
結局はロボットパイロットへの道を進むコトとなる…。

『格闘戦バカが居るって?』

その赤い髪の異世界人はそう云って、訓練中のセイカを訪ねて来た。
当時、民間独立軍に身を寄せていたフレイア・エクセドルである。
ロボット戦闘においても格闘戦に秀でたセンスを観せたセイカの噂を聞き付けて来たらしい。
ちなみに格闘戦以外はからっきしなのだが…。
だが、『格闘戦にのみ特化した能力』にフレイアはいたく共感したらしく、
その後、わざわざ王星からファオレの格闘戦仕様であるレムナゥトを取り寄せ、セイカに与えている。

BaCK