パトリシア様より

『油断』
 
〜油断をしていると命がない〜
〜これは二人の命が消えかかった話〜
 
「お兄ちゃん、一緒につれってってよ!」

「分かった、ただし自分の身は自分で守れよ」

「え・・・・・」

「冗談だ、危なくなったら俺が守るから」

「もう!お兄ちゃんったら」

(くそ!何故守れなかったんだ・・・・)

 
ここはアカティム迷宮遺跡、毎日来る冒険者は多い
今、迷宮遺跡内で一人の男冒険者と一人の少女がいた。
その彼と少女は貧しい生活をやめるため、財宝目当てで来ている。
「お兄ちゃん、今どこだろうね」
「今は・・・・あれ?どこだっけ」
「・・・・冗談はよしてよお兄ちゃん」
「ははは、ばれてたか・・・・にしてもだいぶ成長したな」
「うん!お兄ちゃんのおかげだよ」
「あれからこの迷宮に来てよく戦ったよな」
「うん!・・・・・あれ、これって・・・・」
「ん?・・・・・おぉ!!!」
気づいた二人、目の前には財宝があった
「けっこうかかったな」
「なにせ5日だもんね、お兄ちゃん」
「まぁ、苦労をした甲斐があったってもんだ」
「・・・・・お兄ちゃん、なんかおかしくない?」
「なにが?」
「ここの周り・・・・石像だらけだよ・・・何か怪しくない?」
「へ?そういやそうだな、単なるオブジェじゃないのか」
「でも・・・・何か違和感がある・・・こう・・・・人の手で作られたとは見えないけど」
「・・・・戦いすぎなんじゃないか?ここ2日間戦いっぱなしだからな」
「・・・だといいけ・・・・・!!!」
そのとき彼の後ろに何の影が忍び寄ってきた
少女はそれに気づき冒険者を突き飛ばす
「お兄ちゃん危ない!!!!」
「へ?んな!」
突き飛ばされた冒険者の意識が朦朧としている
気づいたのは飛ばされた後の2〜3秒後くらいで冒険者がおきた
そこで見たのは灰色に染まっていく少女の姿と大きい鶏のような生物がいた
「お兄ちゃん・・・・逃げて・・・」
少女の身体はすでに首まで灰色になっている
「おい!お前を見捨てて逃げれるか!」
「早く・・・しないと・・・・私・・・・み・・・た・・・・い・・・・・に・・・・・・」
少女の言葉は途切れ、瞳の輝きも失い、気づけば少女はひとつの石像になってしまった。
「おい・・・・おい!」
彼は少女に呼びかけた、だが硬く冷たくなった少女の耳には届かなかった
「くそ・・・・俺は約束も守れない奴だったか?」
少女を石像にした生物が冒険者に襲い掛かってくる
「来やがれ!!!俺の妹の仇だ!!!」
彼も襲い掛かった、だがその生物は灰色の煙を噴出してきた
「くぅぅぅ・・・・・」
彼は取り巻いた煙を払おうとしただが煙は思ったより早く消えたと同時に生物は消えてしまった
「ちぃ!逃げ出しやがったか!逃がすか」
彼が歩き出そうとしたとき下半身が異様に感覚が無く動けない
嫌な予感がした彼はその下半身を見て愕然とした
少女が石像になった時のように下半身が灰色に染まっていた
「な・・・・そんな・・・・・」
冷たい灰色は彼が着ていた服・鎧・剣すべてが灰色に染まりつくしていった
「くそ・・・・・俺も・・・妹と・・・・同じ・・・う・・・ん・・・・め・・・・・い・・・・・・な・・・・・・・」
彼も言葉がとまったそして最後に
(やっぱり・・・妹だけは・・・・留守番さ・・・・せ・・・・・)
彼の意識もやみに飲まれていった
残ったのは二体の石像のみ・・・・・
 
後日談
二人は一ヶ月間石化されたままだった、
ちなみに4人の冒険者達に助けられたらしい
2人が手に入れた財宝は山分けだった、でも二人は生きているだけでもいいと言った。
その後、また迷宮遺跡に行ったらしい、ちゃんと石化対策は万全だと彼は言い張っていたらしい
その後二人はどうなったかは知らない・・・
 
おしまい

パトリシア様から『アカティム迷宮遺跡』を舞台にした小説を戴きました。
感謝。
ちなみに謎の生物と云うのはコカトリスとのコトです。
冒険には危険がツキモノです。
とにもかくにも九死に一生を得たので良かった良かった。
そして、九死に一生を得たのならば再び冒険に行く。
これぞ冒険者と云うものでしょう。

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